2012年10月28日日曜日

今年一番のイカ刺しと飯寿司文化とはじめてのカジカのこっこ

 10月13日(土)。昨日の宴の後は、そのまま旧三之助旅館(現在はマルセイの小山祥子さんのご実家、塚田家と小山夫妻の住居になっている)に泊めて頂き、朝から祥子さんと広間の後片付けをしていたら、協議会メンバーの社会福祉協議会の石黒さんが顔を出してくれました。「後片付けの手伝いが必要かと思って」。その心遣いに感激し、とりあえず一緒に朝ご飯を食べようと、階下の台所へ。


イカ25ハイの迫力
 台所では、塚田家にご親族の来客があるとのことで、母、雅子さんは、昨日の「鮭汁」に引き続き「キンキン(キチジ)の三平汁」の準備を始めています。そこへ、 もと魚の仲買人の父、吉隆さんが発泡スチロールの大きな箱を抱えて現われました。「イカ買ってきたぞ」。漁協は旅館の向かい。まさに先ほど、この台所から 100mのところで水揚げされ、魚の目利きが、大事なお客さんに食べさせたいと買ってきたイカです。これほど間違いのないイカはないでしょう。「イカ刺し食 べるかい?」という、雅子さんの声に、一同、声を揃えて「食べます!」。


箸が透ける透明感
 大根おろしと土佐醤油で頂くイカ刺しは、これまで私が食べたことのある、イカ刺しとは全く異なるものでした。新鮮なので、むしろ甘みは少ないのですが、その分、食感が違います。ものすごいコリコリ感。鮮度がいいイカは耳も刺身にします。耳はさらに強烈な歯ごたえです。耳こそがイカ刺し、という人もいるそう。その食感そのものが美味なのです。浦河でイカが一番美味しいのは7〜8月だそうなのですが、祥子さん曰く「今年食べたなかで一番」というイカ刺しを、滑り込みで頂くことができました。朝から駆けつけてくださった石黒さんにも、思わぬご褒美となりました。いいことをするといいことがありますね。

コリコリのイカの耳
以前から、雅子さんのイカ刺しは絶品と聞いていたものの、正直、刺身の味の違いって、鮮度以外に何があるんだろう、と思っていました。しかし、台所をのぞくと、やはり普通じゃないところが見えてきます。雅子さんのイカ刺しは、なんと1パイに180回も包丁が入ります(私のために数えてくれた)。醤油を含みにくい、新鮮なイカは、薄く切ることで、おろし醤油とのバランスが釣り合うということでしょうか。さらに、切られるのを待っている間に白くなっていく(鮮度が落ちていく)イカは、そもそも刺身にはしないというのです。なんという贅沢なイカ刺し。







美しく分解されたイカの図


その後は、こんな機会はめったにないと、25ハイのイカをさばく、雅子さんに張り付き、写真と映像で記録していきました。詳細は、また別の形でまとめる予定なので、ここでは気付いたことを。ひとつめ、とにかく仕事が早い。私が1つ処理している間に、雅子さんは4つぐらい終えています。もちろん、これまでこの台所で数えきれないイカをさばいてきた経験からくるものなのでしょうが、同時にそれは、素材の鮮度を下げないために必要な条件でもあります。私がもたもたと触っていたイカはすぐに白く、ふにゃふにゃになってしまいます。ふたつめ、仕事がきれい。次の作業がしやすいように、さばいていくパーツが、決まった場所に決まった向きで、置かれていきます。私が、イカをさばいた時のまな板とは似ても似つかない美しさです。

外身と中身をあわせるとさらに美味しくなる不思議

雅子さんと台所にいると、役得もたくさんあります。「宜子さん、ワタで食べてみるかい?」と、新鮮なワタを醤油で溶いて、あのイカ刺しを。 生臭みは一切なく、ただただ濃厚なイカのワタがからまる、コリコリのイカ刺し。思わず恍惚としてしまいます。三平汁のために用意していたキンキンも、「これは新鮮だから生でもいけるよ」と、刺身に。脂がたっぷりのったキンキンは、イカとはまた別の美味しさです。



この樽の山の迫力!
 台所仕事が一段落した後、雅子さんと旅館に隣接する元加工場へ。そこには、かつては米を8升(80合!)炊くほどの量を漬けてきたという飯寿司(いずし)の桶と重りの山が。雅子さんが漬ける飯寿司もまた、絶品との噂。毎年、多くの人が楽しみに待っているそうです。飯寿司を漬けるのは、この桶の大きさとその数から見てわかるように、ものすごい大仕事。しかし、雅子さんも、手伝ってもらっていた人たちも、だんだん高齢化し、今年は最小限しか漬けられない、と。ここ数年、この味を引き継ぎたいと、マルセイの小山直さんの妹さんが、雅子さんに教えてもらいながら飯寿司を漬けてみたそうですが、途中で樽を自宅に移動すると、うまくいかないといいます。おそらく、雅子さんの飯寿司は、雅子さんの仕事であるとともに、この元加工場に住む酵母の仕事ということなのでしょう。


これも飯寿司にまつわる文化

「柿食べるかい?」と言われて、雅子さんが開けた箱には、飯寿司の樽につまった柿が。漬けあがった樽を各地へ送ると、その樽に必ず何か食べ物が詰められて、次の仕込み時期までに、送り返されてくるというのです。ある人は果物を、ある人は山菜を。それが一番美味しい時期に。ここにも、食べ物のやりとりによる、距離も時間も長いコミュニケーションがありました。町長からも、ぜひ注目して欲しいと言われた飯寿司文化。やはりとても奥深く、また広がりもありそうで、ますます興味がわいてきました。








台所の精、雅子さん


私が浦河で注目していきたいことのひとつに「家庭の台所」があります。「食」というと、どうしても専門家による調理や、上手に加工された商品に目が行きがちだけれど、「家庭の台所」には、忘れられたり、消えかけているけれど、価値のある資源が、たくさんあるような気がするのです。特に、これだけ素材が豊かなまちではなおさらです。これからも、可能な限り「家庭の台所」に、お邪魔していきたいと思っています。


そして、夜。昨日の交流会でお会いした浦河町役場の方に「明日『カジカのこっこ(魚卵)』を食べるんだけど、良かったら来ませんか」と声をかけて頂き、二つ返事でお邪魔したのでした。私はてっきり「カジカのこっこ」がお店のメニューででてくるのだとと思っていたのですが、テーブルには1つの瓶が。役場の方がわざわざ自宅で漬けてきたものだったのでした。この時期しか食べられない珍味として、浦河町のPR映像の撮影で大阪から来ているプロデューサーの冨島さん、カメラマンの北村さんに食べてもらおうとつくったものを、せっかくだから、と私にもお裾分けをしてくださったのです。


安価なため「子どもの(ための)いくら」とも言われる
「カジカのこっこ」とは、トウベツカジカの魚卵の醤油漬けのこと。つくり方は、いくらの醤油漬けとほぼ同じですが、味と食味はかなり違います。今回は、ごはんに大量にまぜて頂きました。つまり、このバランスでも全然いけるくらい、脂がさっぱりしているのです。しかも旨味が濃い。そして皮の弾力がすごい。いくらというよりも「とびっこ」に近い感じです。でも、サイズはそれより大きいので、プチプチと弾ける食感の後に、卵液がしみ出してきます。来年もまたきっと食べられますように、とお祈りしました。

 「カジカのこっこ」をきっかけに参加させて頂いたこの宴は、浦河町のPR映像の制作に関係する役場の4人が、 休日も関係なく、冨島さんと北村さんをねぎらうために集まったもの。こういうところに役場のみなさんの本気が見えてきます。私のこれからの活動についても、いろいろと応援してもらえそうな感触で、嬉しくなりました。

 浦河の四季それぞれをロケしてきた、浦河町のPR映像は、今回の秋バージョンのロケで全ての撮影を終え、これから全編を編集、今年度中にはリリース予定とのこと。すでに編集済の冬バージョンを見せて頂きましたが、一人の移住者として、これからやってくる浦河の冬が待ち遠しく思えるような映像でした。また、同じように浦河について伝える役割の人間として、私にできること、私がすべきこと、が少しクリアになった気がしました。全編を観たわけではありませんが、このPR映像は、今後、浦河から何かを伝えていこうとする人の助けになってくれるのではないか、と思います。私もリリースを楽しみにしています。 
(宮浦宜子)

2012年10月26日金曜日

宴の準備と人々をつなぐ「食」の可能性

 10月12日(金)。朝から、協議会が主催する交流会(兼、私の歓迎会)の準備を。会場は、旧三之助旅館の大広間。三之助旅館は、かつて浦河を訪れるお客さんたちに、地元で採れる新鮮な海の幸を美味しく食べてもらうために、魚の仲買人だったマルセイの祥子さんのお父さんがつくった旅館。なんと浦河港の真ん前にあります。当時は地元の人たちの祝宴などにも使われ、多くの人にとって思い出深い場所とのこと。
厨房に立つ、ベテラン調理人たち
 今は住宅として使っているとはいえ、台所は最大100人の宿泊客の胃袋を満たしたという本格的な厨房。台所好きとしては、かなり盛り上がります。交流会は、参加費500円、一品持ち寄り、飲み物持参という形式でしたが、主催者側でも料理を用意。旅館の元女将の雅子さん(祥子さんのお母さん)を筆頭に、「おかんのおかず弁当」のメインシェフ、おかん(藤本さん)、三之助旅館から生まれ、今もその志を残す「味処三之助」の若女将をやっていたこともある祥子さん、という強力な布陣のもと、私は「洗い場」担当として、ひたすら鍋や食器を洗っておりました。

すすぐ水に注目
 雅子さんの担当は「さんまの煮付け」と「鮭汁」。「さんまの煮付け」は、先日の「おかんのおかず弁当」にも登場し、私もお裾分けを頂きましたが、おそらく人生で一番美味しい「さんまの煮付け」でした。その秘密を探るべく、私は洗い場と調理台を往復しながら、調理を記録。美味しい「さんまの煮付け」の秘密のひとつは、おそらくこの徹底した「そうじ(下準備)」にあります。すすぐ水が全く濁らないほど、丁寧に内臓などを取り除くのです。美味しいものをつくるには、それだけの時間がかかるということなのですね。












足台に乗って巨大鍋の様子を見る雅子さん
「鮭汁」は、同じ鮭を使ったものでも「石狩鍋」とは違って、調理場で仕上げて提供するもの。 使った鮭は、日高が誇る天然秋鮭「銀聖」を浦河で水揚げする網元「三協水産」の跡取り、小西さんからの「一品持ち寄り」。鮭一尾を持ち寄るというのも豪勢です。これを、巨大鍋で調理。浦河ではいろいろスケールが違います。















卵を40個むいたのは人生初
私も少しは調理のお手伝いを。協議会メンバーで養鶏を手がける「キッチンサイドファーム」の櫻井さんの「一品持ち寄り」は、平飼い鶏の卵40個。これは茹でて味噌漬けに。きれいにむけていないのは、私の不器用さではなく、あまりに新鮮なせいですので、あしからず。

夕方からは、お客様を迎えるため、普段は洗濯物干場と化している大広間を整えます。私はここが旅館だった頃を残念ながら知りません。でも、お誘いした方たちに交流会の会場が旧三之助旅館の大広間であることをお伝えするたび、みなさんの顔がぱっと明るくなるのを見てきたので、浦河の人たちにとって大切な場所なんだと、掃除にも気合いが入ります。








交流会では七味の瓶をマイクにリレー方式で自己紹介
朝からの怒濤のような準備を終え、6時半すぎからお客様をお出迎え。
みなさんが、手に手に自分の一品を持って広間に入ってくる様子は、とても素敵です。持ち寄り品を置くテーブルは、あふれんばかりの浦河の食の饗宴(バタバタしていて写真を撮り逃してしまったけれど)。
 今回、会場の広さから、泣く泣く絞り込んで集まって頂いた参加者は、漁業家、野菜農家、酪農家、養鶏家、飲食店主、高校養護教諭、中学教諭、図書館長、社会福祉協議会職員、映画館主、浦河への移住者(美容室経営者とその家族、アメリカ人英会話講師とその奥さん)、そして役場の食や観光、移住に関わる職員などなど。さらには、浦河出身の映画監督、田中光敏さん監修のもと役場が制作中の浦河町PR映像の撮影に訪れていたクルーも飛び入りで。

 この交流会では、初めて顔を合わせたという方も多くいらっしゃって、これだけ多様な領域の人々が関わりうる「食」というものの底力をあらためて実感しました。
その一方で、やはりこの光景は、どのまちでも見られるわけではないのだろうな、ということも同時に思いました。協議会の代表である直さんと祥子さんが、これまで少しずつ築いてきた関係と、まちの人々のオープンさ、そしてここにある「豊かな食」あってのものだと。
私もここでまた、いろいろな方と出会い、次につなげていけそうな話をたくさんすることができました。半年で実現しきれるか?というくらい。これからが本当に楽しみです。
(宮浦宜子)

2012年10月22日月曜日

乗馬と食の関係と頂きものコミュニケーション

10月10日(水)。午後から、乗馬のために浦河町乗馬公園へ。ここは「町民乗馬文化の醸成」を目指して設立された町営施設であり、体験移住者全員に1回の無料体験がプレゼントされます。私も、同時期に滞在しているみなさんとともに、参加させて頂きました。
 
先日の浦河ツアーでご一緒したご夫婦とも再会
浦河町への体験移住者は年配の方が多いのですが、馬に乗るのは人生初!という方もいらっしゃいました。私は1年半ほど前に、友人の運営する島根の牧場で乗ったことがあって、とても楽しい時間だったので、また乗りに行きたいなあと思っていたのですが、ここ浦河で実現してしまいました。






美味しいものを食べてるのと多分同じ笑顔


久しぶりの馬の背中はやっぱりとても楽しくて、本当に馬とわかりあえるようになったらどんなに素敵だろうと思い、浦河にいる半年間の間、積極的に馬に乗ることに決めました。最後は山を駆けることが目標。
都会に住んで、乗馬を楽しみたいと思っても、金銭的になかなかハードルが高いと思いますが、ここ浦河では「テニスサークルや、バレーボールサークルに参加するような気持ちで、スポーツとして乗馬を楽しんでほしい」と、費用はとても低く設定されています。一人で乗れるようになれば、1回なんと500円(15分)。私も、浦河の美味しいもので増えていく体重を、乗馬で落としていきたいと思います。


バランスを考えながら食べているらしい
 乗馬と「食」のつながりは、私のダイエットだけではありません。浦河には4000頭の馬がおり、1万4000千人の町民と同様に、その馬たちも、日々「食」べているんですよね。前にも少し触れましたが、この馬の「食」のための広大な牧草地の存在と、浦河の食の関係については、これから探っていきたいことのひとつです。そうそう、私は今回の乗馬ではじめて正真正銘の「道草」を体験しました。そう、乗馬中、馬は、隙あらば「道」の「草」を食べるんです。とても親近感を感じます。



これらをひとりで背負ってきたおばあさん
 乗馬の後、次に住みたいと思っている家が、ちょうど空いているとのことで、下見に行きました。隣に住む大家さんのおばあさんといろいろ話していたら、午前中、きのこ採りに行ってきた、とのこと。ここ数年、きのこ採りに憧れていた私は、すぐさま「場所の秘密は守るので、連れていって欲しい」とお願いし(きのこ採りはある種の戦いなのです)、連れていってもらうことになりました。そして、帰りには「とりあえず、今日はこれを持っていきなさい」と、袋一杯の落葉きのこ(ハナイグチ)と山栗を頂きました。






本日の頂きもの
夕方、遅めの朝食だけで馬に乗り、あまりにお腹がすいたので、パン屋さん「ぱんぱかぱん」へ。あれも食べたい、これも食べたい、せっかくだからスープも、と選んでいたら、軽食のつもりが、ほとんど夕食かという量に。オーナーの以西さんが、ちょっと味見とさらに追加してくださったラタトゥイユが、とんでもなく美味しかったので、レシピを聞いてみたところ、農家の藤田さんのアイコトマトと水と塩で、浦河産の野菜を煮こんだだけ、と。「そういえば、藤田さんのトマト、生で食べたことないかも知れない」と言うと、「ぜひ食べてほしいから」と、ご自分用に買っていたものを、分けてくださいました。事務所に帰りついた時には、両手いっぱいの頂きもの。

 誰かに会えば、何かを頂く、という浦河の生活は、私にとっては本当に驚きで、そしてとても嬉しいできことでもあります。浦河の食についてリサーチしている、という私の立場を差し引いても、ここでの大切なコミュニケーションの一部として、食べ物のやりとりがあるような気がします。私の場合は、今のところ頂くばかりなのですが。
(宮浦宜子)

2012年10月20日土曜日

はじめてのカフェ「アッシュ」とうれしい話

しっとりと話し込むのによさそうなソファ席
 10月9日(火)。いろいろな人から「浦河にはとってもいいカフェがあってね…」と紹介されていたカフェ「アッシュ」に、ようやく足を運ぶことができました。アッシュは店主の馬道さんが、POPライターの仕事と二足のわらじで、週4日オープンしています。平屋の民家をまるごと一軒使い、まさに馬道さんのお家に遊びにいくような雰囲気のカフェです。実際に訪れる前は、アッシュのようなカフェは、行きなれた人にとっては、とても落ち着けるだろうけど、はじめての人は、入るのに勇気がいりそうだな、と思っていたけれど、馬道さんの笑顔とオープンさに触れて、それはまったくの杞憂だったなあ、と思いました。

店内では野菜なども売られています

食事は、光がさんさんと差し込む、台所前のテーブルで「えりも短角牛のボロネーズ(パスタ)」を。気取りはないけれど、牛のうまみがしっかり麺に絡んでいて、きっとまた食べたくなるだろうな、という味でした。












訪問先で出会ったおとぎ話のような庭




この日の夕方は、マルセイの祥子さんと、等身大の復興支援活動として、福島県郡山市の柏屋さんから希望者を募って毎月購入しているお饅頭の配達についていきました。今後、何かつながりが生まれそうな方や、祥子さんのお友達などに、はじめまして、のご挨拶をしていきます。先日の新聞記事を読んでくださって、すでに私のことを知っておられた方も数人いて、その中のお一人から、こんなことを伝えられました。
 「あの記事を読んでから、自分の浦河に対する気持ちが大きく変わった。あなたのような人が浦河を気に入って、わざわざやってきてくれたことにびっくりした。なぜなら、私はずっと、浦河には何もないと思っていたし、ここが好きになれなくて、まちを離れたいと思ったこともあるくらいだから。でも、もしかしたら、ここにもいいところがあるかも知れない、と思いはじめた。そして、考えてみれば、自分はずっとこのまちで暮らし、お世話になってきたのだから、自分も浦河に何か恩返しをしなくては、という気持ちが起こってきた」と。

 ひとりの人間が浦河にやってきた、という事実を、こんな風に受け止め、自分ごとに変えていった人がいらっしゃることに、驚くとともに、あらためて、まずはまちの人にこそ、浦河のいいところを伝えていきたいな、と思いました。
(宮浦宜子)

2012年10月14日日曜日

磯場屋学校に入学!

土日もかまわず、連日大忙しの研修生・宮浦宜子さん。
村下くんと一緒に、今日は午後から磯場屋学校に入学しました。

協議会代表の小山と一緒に、私も少し様子を見に出かけてみましたが、この学校、
主催者のみなさんが本当に素晴らしかった!
写真をすこしだけだけ…というつもりで出かけたのでしたが、あまりに楽しい磯場屋学校でしたので、ついつい最後まで見せていただいて来ました。次回はぜひ、参加したいと思いました。


さあ!先ずは、サメガレイの皮むきに挑戦する宮浦さんです。初めてのサメガレイですが、なかなかいい感じで進んでいますね~。魚の生臭さも、サメガレイのゴジラのような肌?もなんのその。意欲的にトライしていましたよ。

おぉっ!サメガレイの皮が、こんなにきれいにむけて、本人もびっくり?見事なものです!次には5枚おろしに挑戦していましたが、こちらは参加者のみなさん同様に、ちょっと苦戦したかな?

 
いえいえ。とは言えこちらも何とかクリアーしたようで、ごらんの笑顔です。
そして、まだまだ続きがありますが、はい。
次は“いくら”作りでしたね。宜子さーん、楽しんでいますか~

おっと、この満面の笑顔を見ると、
どうやら宜子ブランドのいくらの醤油漬けも無事に完成したようです。


最後に磯場屋学校の校長先生ご夫妻(浦河の池田鮮魚店さんです!)と記念撮影


楽しくておいしくて勉強になってと、3拍子そろった磯場屋学校への参加、良かったですね。ここでもしっかりと、参加者のみなさまに 『うらかわ「食」で地域をつなぐ協会」のPRは忘れてはいません。浦河に来てまだ2週間もたっていないというのに、ナイスな仕事ぶりです。村下くんと一緒に、これからがますます楽しみな宮浦さんです。
(小山祥子)

2012年10月13日土曜日

うらかわ「食」つながり 研修生歓迎交流会

毎日、町内各所へとご挨拶に伺っている宮浦さん。ここで一気にご紹介~!
10月12日の昨日、歓迎交流会の場を持ちました。

会費はワンコインの500円ですが、各自なにか一品持ち寄り。
そして自分の飲み物は持参というルールの交流会でした。

会場はかつて旅館だったわが家の大広間。
ここなら大人数でも収容できて、広い調理場やたくさん揃っている食器、
そして、料理上手なばあちゃんの腕前も利用できるというおまけがついてきます^^
それらみんなを活かしての歓迎交流会でした。


控えめに声をかけたもののあっという間に36人ほどになりましたが、異業種の方々が集まっての楽しい交流会になりました。研修生の宮浦さんを迎えて、すでに「食」と地域がつながってきている協議会ですね。笑

この日の豪華メニューの数々。
おにぎり、鶏のから揚げ、タコのカルパッチョ、アイコのトマトサラダ、キッチンサイドファームの卵で作ったゆで卵の味噌漬け、ポテトサラダ、酢豚、鮭汁、かぼちゃの煮物、おかんの煮物、串八の焼き鳥、船越谷さんの天ぷらかまぼこ、きんぴらごぼう、かぼちゃのタルト、バナナケーキ、鶏肉のつくね焼き、新鮮キャベツのちぎりサラダにスパゲッティサラダ・・・

まだ他にもありましたが、紹介しきれません。それにしても、料理に負けないほどの豪華な顔ぶれと新しい出会いに恵まれた交流会でした。わたしたち協議会、みなさんと一緒にがんばります!


ところで、お酒に酔っている大人たちの知らないところで活躍していたちびっこちゃん。
一人、二人と帰宅した後の玄関で、せっせと靴をそろえるのを手伝ってくれていました。
(小山祥子)

2012年10月12日金曜日

カヌー、酪農、遠くからまちを思う気持ち

10月5日(金)。午前中は協議会のアドバイザーの村下さんと、協議会メンバーの酪農家、富岡さんのところへ。富岡さんの牧場「リチェズ・ヒルズ」は「子どもたちが牛に触れることで、酪農に少しでも興味を持ってもらい、命の大切さなどを学んでもらいたい」という思いからスタートした、酪農教育ファームでもあります。この日は、神戸から修学旅行でやってきた男子高校生たちが滞在中。浦河町とお隣の様似町は、昨年から「日高王国」という「民泊(農林漁家に宿泊し、農林水産業の体験をする)」プログラムをスタートしており、富岡さんも受け入れ先となっているのです。


高校生たちとパドルの使いかたを説明する富岡さん
富岡さんは、酪農体験の前に、まずはカヌー(カヤック)を体験してもらいたいと、高校生たちを連れて、牧場から車で20分くらいのダム湖(うらら湖)へ。浦河は「海と丘のまち」と思っていたけど(人工湖とはいえ)湖もあるんですね。うらら湖は完全に私たちの貸し切り状態でした。










うらら湖はこんな景色
美しさを追求するならば、ほかにも素敵な湖はたくさんあるけれど、浦河のまちから、ひょいっとやってきて、誰もいない湖にカヌーを浮かべられる、このロケーションには可能性を感じます。例えば、朝ごはんを食べるためだけにカヌーに乗る、とかもできそう。



生後10日ほどの子牛「ライム」と高校生

 しばし湖上散歩を楽しんだ後、高校生たちは早速、牧場の仕事にチャレンジ。彼らの高校は、昨年、酪農体験をした生徒たちに、とても良い変化があったということで、今年もやってくることになったそう。彼らがせっせと子牛にミルクを飲ませたり、干し草を与えたりする姿を横目で眺めながら、私は陽気な富岡さんのお父さんとおしゃべりを。

















「いつも裸だからよく擦りむくんだよなー」
「まだ、82だからさ。はっ、はっ、はっ」と笑うお父さんは、もう10月だというのに、なぜか上半身裸。農業で生きてきた痕跡が刻まれたその身体には尊さすら感じます。

リチェズ・ヒルズには、改めて酪農体験にくる予定なので、詳しい紹介はまたその時に。



10月6日(土)。昼から、六次産業化サポートセンターの中小企業診断士の方が浦河にいらっしゃるとのことで、浦河町役場企画課、水産商工観光課の職員さん、そして浦河出身で現在は札幌で活動しつつも、今後、浦河を舞台にあるプロジェクトを実現しようとしている空間デザイナーの方とのミーティングに、村下さんと参加しました。

後半はそのプロジェクトの話題が中心でしたが、たとえ別の場所に住んでいても、浦河のために何かしたいという気持ちは、まちにとって貴重な財産なのだな、とあらためて思いました。そして、浦河に対してそういう気持ちを持つ人たちが多くいそうなのです(浦河はふるさと納税の額も多いそうです)。それらを丁寧に活かせれば、いろいろな可能性が広がっていくような気がします。

(宮浦宜子)

2012年10月10日水曜日

素手にイカ、おかんのおかず弁当、牧草地の知られざる特質

浦河での日々は毎日が新しい出会いであっという間に時間がたってしまいます。
今日の午後からの乗馬体験の前に先週のことを。


これを両手に持ち立ちすくむ
10月3日(水)。朝、でかけようと家をでると、お隣の仕出し屋さんのおじいさんが「あんた、イカ、食べるかい」と。「今朝、そこであがったやつだから」と、発泡スチロールの箱から、右手と左手に1パイずつイカを。もちろん、そのままです。吸盤がどんどん手に吸い付いてきます。そんな非日常から一日がはじまりました。

















写真を撮ろうとすると照れるおかん
午前はマルセイさんの「おかんのおかず弁当」のお手伝い。
「おかんのおかず弁当」は、毎週水曜日に「おかん」こと、神戸出身の藤本さんの関西風の煮物が入った手づくり弁当を定期契約している方にお届けするサービスです。
 素材はもちろん浦河産。私はマルセイの祥子さんとともに、盛りつけ担当です。マルセイの祥子さんは、かつて料理屋のおかみだったこともあって、盛りつけへのこだわりがすごい。盛りつけも本当にひとつのメッセージだ、と思います。お弁当の内容はこちら
ちなみに私の盛りつけ担当者としての素質は「困るほどではないけど、決して早いほうではないね!」とのこと。精進いたします。そして、夕方は配達にも同行。チャイムを押すとすかさず「はーい!」と返事が帰ってくるそのスピード感に、お弁当を楽しみにされている気持ちが伝わってきます。それぞれのお宅でお弁当を渡しながら、少しおしゃべり。お客さまは、主に年配の方々で「今日、はじめて人と話したよ」という方も。食だけではなく、お届けの会話の時間も含めて「おかんのおかず弁当」だと、いうことを実感しました。




夜は、さっそく頂いたイカをさばいて、イカとなすとトマトのパスタを。朝は刺身にする!と息巻いていたのですが、はじめてイカをさばく人にはハードル高いよ、と一蹴されたので。夜になってもまだ、吸盤が吸い付く新鮮さ、イカのうまみたっぷりのパスタになりました。

10月4日(木)。浦河に来てはじめての外出のない日。でも、ランチは牧場の見えるレストラン「エヤム(ムは小さい字)」へ。お子さんのアレルギーのため、農薬ができるだけ使われていない場所を探していて、浦河に辿り着いたという小野里さんという素敵なマダムが経営するレストラン。そんな方がつくっている料理と思うと本当に安心して頂けます。浦河は牧草地が広がっているため、全国で最も農薬の使用が少ない場所のひとつとのこと。これも浦河の食に関わる、他にはない重要な要素。こちらに来てから知ったのですが、個人的に、とても注目していることのひとつです。お店には、乗馬帰りの奥さまたちや、体重管理が重要な、騎手(というのかな?)の方々がランチに訪れていて、浦河のまたひとつ別の姿に出会いました。お店が混み合ってきたので、元浦河町立図書館長で、現在「浦河百話」(聞き書きによる浦河の町民史。すばらしい資料です)の戦後版の編纂に取り組んでいる小野寺さんと相席に。今年度中の発行を目指しているそうで、本当にできあがりが楽しみです。
(宮浦宜子)

2012年10月6日土曜日

楽しみです!

着任した研修生の宮浦宜子さん。
さすがは私たちが選んだだけあって? よく笑い、よく食べます!

そしてどうやら、美味しいものを食べる時には目をつむるようです。
牧場風景を見ながらおいしい食事がいただける、ここエヤムでも、ほ~ら・・・
まだサラダだけだというのに、こんなに楽しそうに食事を始めていました。

これから始まる浦河での生活。
うーんと美味しいものを食べて、楽しんで欲しいものです。

もちろん、その中からの発見や出会いをそしっかりレポートしていただきましょう~♪
よろしくね^^ 
(小山 祥子)

2012年10月5日金曜日

地元紙・日高報知にも紹介していただきました

 研修生の宮浦さんを迎えて、いよいよ協議会の活動が動き始めました。
さっそくご挨拶にお伺いした浦河町役場では、うーんと話が盛り上がって予定時間を大幅にオーバー!初日から訪問スケジュールは大きく遅れましたが、なんともうれしい誤算のスタートとなりました。さあ~、これからが楽しみですね^^

この協議会のブログにはできるだけタイムリーな活動情報をお伝えできたらいいと思っています。そこで、とりあえず3人のメンバーが随時書き込んで行くスタイルにしようと決定!どうか、それぞれのレポート?をお楽しみいただけたらいいなぁーと思います。


おっと。写真が見づらくて失礼!
先日の北海道新聞に続いて、今朝の日高報知新聞紙にもご紹介していただきました。

少~し注目していただいている協議会と研修生のようですが、これからますます、楽しくつながりを広げていけそうな予感でいっぱいです。みなさん、一緒に楽しんで下さいね。

(小山 祥子)

歓迎会と浦河町役場 ー研修1&2日目ー

10月1日午後、浦河に到着。これからの拠点となる生活体験住宅に荷物を運び入れます。もともと教員住宅だった平屋の3LDK。古いけれど、きちんと手入れされています。家具家電は備え付けなので、自分が必要とするものだけ持ち込めばOK。私は浦河の食材を使って、積極的に料理をしていきたいと思ったので、自分の好みの調味料なども持参。

夜は協議会のメンバーが、焼き鳥「串八」で歓迎会を開いてくれました。手羽先は、思わず人の串に手が伸びてしまうような美味しさ(笑)。歓迎してくださったメンバーのひとり、浦河町役場で移住促進を担当されている長崎さんは、浦河の魅力を語るエキスパート。お話を聴いていて、つくづく浦河に来て良かったと再確認しました。また、社会福祉協議会の石黒さんは「浦河めぐみの会」という、浦河の食材を生かした新規商品開発を行う有志の会のメンバーでもあります。浦河はタコ漁も盛んで、私はここにいる間に、タコのラグーのパスタを得意料理にしようと思っていたのですが、なんと、タコを使ったメニューコンテストを計画中とのこと。すぐさま参加を約束。

10月2日午前、移住者対象のオリエンテーションで浦河町ツアーへ。生活に必要な場所、浦河の特色と言える場所、いろんなところに連れていって頂いたのですが、とにかく魚屋さんが豊富。一尾まま売っているお店もあれば、お刺身にして売っているお店も。浦河にいる間に、一尾まま買って、さばけるようになりたいです。

この内容で1,050円はすごい
ランチには海鮮料理「三之助」へ。幕の内弁当を頂きましたが、すばらしいコストパフォーマンス。
また、ご一緒した短期移住のご夫婦は、これまで住んだアジアの都市などと比較しても、浦河には強い魅力がある、とおっしゃっていました。









午後は浦河町長への表敬訪問。15分の予定と言われていたのが、話が尽きず、1時間以上もお話することに。自分も漁師の息子と言う池田町長には、重要な食文化であるが、仕込む人が少なくなっている「飯寿司」にも注目して欲しいなど、今後のヒントになるお話をたくさん頂きました。そして、港町では当たり前のことなんだろうと思いながらも、漁師の家庭に育った人が、漁業政策にも関わっていることに、なんだかとても安心しました。その後は関連部署の役場の方々と懇談。昨日、社会福祉協議会の石黒さんから伺った「浦河めぐみの会」の中心メンバーもいて、メニューコンテストへの参戦だけではなく、運営自体のお手伝いもすることに。こちらも漁師の息子だという水産商工観光課長の徳田さんに日高昆布の美味しさの理由や春一番に採れるウニの話も聴き、浦河の食材への興味はますますふくらみます。浦河町役場、一緒にいろいろなことに取り組んでいけそうな予感がします。

注・材料に「ひぐま」は入っていません
ちょっと高揚した気分のまま、晩御飯には、体験移住者オリエンテーションでおみやげに頂いた、ラーメン屋「まさご」さんの「ひぐまの黒餃子」を。餡にも皮にも日高昆布が練り込んである、濃いめの味で意外とワインに合いました。持ち寄りパーティーの手みやげにもっていきたい。

(宮浦宜子)

2012年10月4日木曜日

はじめまして、研修生の宮浦宜子です。



浦河の食を育む海
はじめまして。「うらかわ『食』で地域をつなぐプロジェクト」の研修生の宮浦宜子(たかこ)です。

札幌生まれ、札幌育ちですが、幼稚園年長から小学校の7年間は父の転勤で釧路に暮らし、大学生からは東京で暮らしていました。そして、今から2年ほど前、札幌に戻ってきました。

東京と比べればコンパクトではあるものの、札幌もやはり「都市」。いろいろなものが機能分化し専門化していく都市の良さもあるけれど、資源が少ないゆえに、ひとつのものが複数の機能を果たさなければならないような「小さなまち」で暮らし、そこが必要としていて、自分もやってみたいと思えることを探してみたい、と思っていた矢先、浦河というまちに出会いました。

専門は「つなぐこと」になるでしょうか。20代後半に働いていたベンチャー企業では、企業と人をつなぐ仕事をしていましたし、30代前半に働いていたNPOでは、学校や地域の中で、子どもとアーティストをつなぐ仕事をしていました。そのままでは出会わないはずのものが出会うとき、それぞれが持つ隠れた力があらわれることに、魅了されてきました。

浦河では「食」をテーマに、食材と人、つくる人と食べる人、浦河の人と外の人、食と文化、食べることと暮らすこと・働くこと、など、いろいろなもの・ことをつないでみたいです。それらの出会いによって、お互いに新しい力が生まれ、浦河というまちに関わる人々が、よりいっそう、いきいきと暮らしていくためのお手伝いができればと思います。

最初の1ヶ月は、とにかく人と会い、食べ、訪れて、浦河の食にまつわるあらゆることを、吸収しようと思います。それらをどのようにつなげて、かたちにしていくかは、これから協議会のみなさんと相談しながらすすめていきます。

1ヶ月前に、自分とは何のつながりもなかった場所と、こんなに深く関わることになるとは、本当に人生とは不思議なものです。私にとっても、浦河との出会いが、自分の新しい力を引き出してくれるような気がしています。

半年間、どうぞ宜しくお願いします。
(宮浦宜子)

2012年10月3日水曜日

「田舎で働き隊!」活動スタート!


10月1日より「田舎で働き隊!」研修生として宮浦宜子さんが浦河で活動を始めました!

昨日は浦河町長への表敬訪問、役場の関係部署へのご挨拶。
池田町長への表敬訪問では、池田町長から浦河の食の可能性や文化などについて語っていただき、今後の様々な可能性を感じることができたようです。

浦河町役場関係部署の方達との打ち合わせにおいても、職員の方の熱意に触れ、
町の課題や可能性について多くの意見を交わすことができました。

これから半年間という限られた機会ですが、浦河の魅力を繋げ、発信する活動を共におこなってゆきます!

村下