2012年10月10日水曜日

素手にイカ、おかんのおかず弁当、牧草地の知られざる特質

浦河での日々は毎日が新しい出会いであっという間に時間がたってしまいます。
今日の午後からの乗馬体験の前に先週のことを。


これを両手に持ち立ちすくむ
10月3日(水)。朝、でかけようと家をでると、お隣の仕出し屋さんのおじいさんが「あんた、イカ、食べるかい」と。「今朝、そこであがったやつだから」と、発泡スチロールの箱から、右手と左手に1パイずつイカを。もちろん、そのままです。吸盤がどんどん手に吸い付いてきます。そんな非日常から一日がはじまりました。

















写真を撮ろうとすると照れるおかん
午前はマルセイさんの「おかんのおかず弁当」のお手伝い。
「おかんのおかず弁当」は、毎週水曜日に「おかん」こと、神戸出身の藤本さんの関西風の煮物が入った手づくり弁当を定期契約している方にお届けするサービスです。
 素材はもちろん浦河産。私はマルセイの祥子さんとともに、盛りつけ担当です。マルセイの祥子さんは、かつて料理屋のおかみだったこともあって、盛りつけへのこだわりがすごい。盛りつけも本当にひとつのメッセージだ、と思います。お弁当の内容はこちら
ちなみに私の盛りつけ担当者としての素質は「困るほどではないけど、決して早いほうではないね!」とのこと。精進いたします。そして、夕方は配達にも同行。チャイムを押すとすかさず「はーい!」と返事が帰ってくるそのスピード感に、お弁当を楽しみにされている気持ちが伝わってきます。それぞれのお宅でお弁当を渡しながら、少しおしゃべり。お客さまは、主に年配の方々で「今日、はじめて人と話したよ」という方も。食だけではなく、お届けの会話の時間も含めて「おかんのおかず弁当」だと、いうことを実感しました。




夜は、さっそく頂いたイカをさばいて、イカとなすとトマトのパスタを。朝は刺身にする!と息巻いていたのですが、はじめてイカをさばく人にはハードル高いよ、と一蹴されたので。夜になってもまだ、吸盤が吸い付く新鮮さ、イカのうまみたっぷりのパスタになりました。

10月4日(木)。浦河に来てはじめての外出のない日。でも、ランチは牧場の見えるレストラン「エヤム(ムは小さい字)」へ。お子さんのアレルギーのため、農薬ができるだけ使われていない場所を探していて、浦河に辿り着いたという小野里さんという素敵なマダムが経営するレストラン。そんな方がつくっている料理と思うと本当に安心して頂けます。浦河は牧草地が広がっているため、全国で最も農薬の使用が少ない場所のひとつとのこと。これも浦河の食に関わる、他にはない重要な要素。こちらに来てから知ったのですが、個人的に、とても注目していることのひとつです。お店には、乗馬帰りの奥さまたちや、体重管理が重要な、騎手(というのかな?)の方々がランチに訪れていて、浦河のまたひとつ別の姿に出会いました。お店が混み合ってきたので、元浦河町立図書館長で、現在「浦河百話」(聞き書きによる浦河の町民史。すばらしい資料です)の戦後版の編纂に取り組んでいる小野寺さんと相席に。今年度中の発行を目指しているそうで、本当にできあがりが楽しみです。
(宮浦宜子)