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2012年10月28日日曜日

今年一番のイカ刺しと飯寿司文化とはじめてのカジカのこっこ

 10月13日(土)。昨日の宴の後は、そのまま旧三之助旅館(現在はマルセイの小山祥子さんのご実家、塚田家と小山夫妻の住居になっている)に泊めて頂き、朝から祥子さんと広間の後片付けをしていたら、協議会メンバーの社会福祉協議会の石黒さんが顔を出してくれました。「後片付けの手伝いが必要かと思って」。その心遣いに感激し、とりあえず一緒に朝ご飯を食べようと、階下の台所へ。


イカ25ハイの迫力
 台所では、塚田家にご親族の来客があるとのことで、母、雅子さんは、昨日の「鮭汁」に引き続き「キンキン(キチジ)の三平汁」の準備を始めています。そこへ、 もと魚の仲買人の父、吉隆さんが発泡スチロールの大きな箱を抱えて現われました。「イカ買ってきたぞ」。漁協は旅館の向かい。まさに先ほど、この台所から 100mのところで水揚げされ、魚の目利きが、大事なお客さんに食べさせたいと買ってきたイカです。これほど間違いのないイカはないでしょう。「イカ刺し食 べるかい?」という、雅子さんの声に、一同、声を揃えて「食べます!」。


箸が透ける透明感
 大根おろしと土佐醤油で頂くイカ刺しは、これまで私が食べたことのある、イカ刺しとは全く異なるものでした。新鮮なので、むしろ甘みは少ないのですが、その分、食感が違います。ものすごいコリコリ感。鮮度がいいイカは耳も刺身にします。耳はさらに強烈な歯ごたえです。耳こそがイカ刺し、という人もいるそう。その食感そのものが美味なのです。浦河でイカが一番美味しいのは7〜8月だそうなのですが、祥子さん曰く「今年食べたなかで一番」というイカ刺しを、滑り込みで頂くことができました。朝から駆けつけてくださった石黒さんにも、思わぬご褒美となりました。いいことをするといいことがありますね。

コリコリのイカの耳
以前から、雅子さんのイカ刺しは絶品と聞いていたものの、正直、刺身の味の違いって、鮮度以外に何があるんだろう、と思っていました。しかし、台所をのぞくと、やはり普通じゃないところが見えてきます。雅子さんのイカ刺しは、なんと1パイに180回も包丁が入ります(私のために数えてくれた)。醤油を含みにくい、新鮮なイカは、薄く切ることで、おろし醤油とのバランスが釣り合うということでしょうか。さらに、切られるのを待っている間に白くなっていく(鮮度が落ちていく)イカは、そもそも刺身にはしないというのです。なんという贅沢なイカ刺し。







美しく分解されたイカの図


その後は、こんな機会はめったにないと、25ハイのイカをさばく、雅子さんに張り付き、写真と映像で記録していきました。詳細は、また別の形でまとめる予定なので、ここでは気付いたことを。ひとつめ、とにかく仕事が早い。私が1つ処理している間に、雅子さんは4つぐらい終えています。もちろん、これまでこの台所で数えきれないイカをさばいてきた経験からくるものなのでしょうが、同時にそれは、素材の鮮度を下げないために必要な条件でもあります。私がもたもたと触っていたイカはすぐに白く、ふにゃふにゃになってしまいます。ふたつめ、仕事がきれい。次の作業がしやすいように、さばいていくパーツが、決まった場所に決まった向きで、置かれていきます。私が、イカをさばいた時のまな板とは似ても似つかない美しさです。

外身と中身をあわせるとさらに美味しくなる不思議

雅子さんと台所にいると、役得もたくさんあります。「宜子さん、ワタで食べてみるかい?」と、新鮮なワタを醤油で溶いて、あのイカ刺しを。 生臭みは一切なく、ただただ濃厚なイカのワタがからまる、コリコリのイカ刺し。思わず恍惚としてしまいます。三平汁のために用意していたキンキンも、「これは新鮮だから生でもいけるよ」と、刺身に。脂がたっぷりのったキンキンは、イカとはまた別の美味しさです。



この樽の山の迫力!
 台所仕事が一段落した後、雅子さんと旅館に隣接する元加工場へ。そこには、かつては米を8升(80合!)炊くほどの量を漬けてきたという飯寿司(いずし)の桶と重りの山が。雅子さんが漬ける飯寿司もまた、絶品との噂。毎年、多くの人が楽しみに待っているそうです。飯寿司を漬けるのは、この桶の大きさとその数から見てわかるように、ものすごい大仕事。しかし、雅子さんも、手伝ってもらっていた人たちも、だんだん高齢化し、今年は最小限しか漬けられない、と。ここ数年、この味を引き継ぎたいと、マルセイの小山直さんの妹さんが、雅子さんに教えてもらいながら飯寿司を漬けてみたそうですが、途中で樽を自宅に移動すると、うまくいかないといいます。おそらく、雅子さんの飯寿司は、雅子さんの仕事であるとともに、この元加工場に住む酵母の仕事ということなのでしょう。


これも飯寿司にまつわる文化

「柿食べるかい?」と言われて、雅子さんが開けた箱には、飯寿司の樽につまった柿が。漬けあがった樽を各地へ送ると、その樽に必ず何か食べ物が詰められて、次の仕込み時期までに、送り返されてくるというのです。ある人は果物を、ある人は山菜を。それが一番美味しい時期に。ここにも、食べ物のやりとりによる、距離も時間も長いコミュニケーションがありました。町長からも、ぜひ注目して欲しいと言われた飯寿司文化。やはりとても奥深く、また広がりもありそうで、ますます興味がわいてきました。








台所の精、雅子さん


私が浦河で注目していきたいことのひとつに「家庭の台所」があります。「食」というと、どうしても専門家による調理や、上手に加工された商品に目が行きがちだけれど、「家庭の台所」には、忘れられたり、消えかけているけれど、価値のある資源が、たくさんあるような気がするのです。特に、これだけ素材が豊かなまちではなおさらです。これからも、可能な限り「家庭の台所」に、お邪魔していきたいと思っています。


そして、夜。昨日の交流会でお会いした浦河町役場の方に「明日『カジカのこっこ(魚卵)』を食べるんだけど、良かったら来ませんか」と声をかけて頂き、二つ返事でお邪魔したのでした。私はてっきり「カジカのこっこ」がお店のメニューででてくるのだとと思っていたのですが、テーブルには1つの瓶が。役場の方がわざわざ自宅で漬けてきたものだったのでした。この時期しか食べられない珍味として、浦河町のPR映像の撮影で大阪から来ているプロデューサーの冨島さん、カメラマンの北村さんに食べてもらおうとつくったものを、せっかくだから、と私にもお裾分けをしてくださったのです。


安価なため「子どもの(ための)いくら」とも言われる
「カジカのこっこ」とは、トウベツカジカの魚卵の醤油漬けのこと。つくり方は、いくらの醤油漬けとほぼ同じですが、味と食味はかなり違います。今回は、ごはんに大量にまぜて頂きました。つまり、このバランスでも全然いけるくらい、脂がさっぱりしているのです。しかも旨味が濃い。そして皮の弾力がすごい。いくらというよりも「とびっこ」に近い感じです。でも、サイズはそれより大きいので、プチプチと弾ける食感の後に、卵液がしみ出してきます。来年もまたきっと食べられますように、とお祈りしました。

 「カジカのこっこ」をきっかけに参加させて頂いたこの宴は、浦河町のPR映像の制作に関係する役場の4人が、 休日も関係なく、冨島さんと北村さんをねぎらうために集まったもの。こういうところに役場のみなさんの本気が見えてきます。私のこれからの活動についても、いろいろと応援してもらえそうな感触で、嬉しくなりました。

 浦河の四季それぞれをロケしてきた、浦河町のPR映像は、今回の秋バージョンのロケで全ての撮影を終え、これから全編を編集、今年度中にはリリース予定とのこと。すでに編集済の冬バージョンを見せて頂きましたが、一人の移住者として、これからやってくる浦河の冬が待ち遠しく思えるような映像でした。また、同じように浦河について伝える役割の人間として、私にできること、私がすべきこと、が少しクリアになった気がしました。全編を観たわけではありませんが、このPR映像は、今後、浦河から何かを伝えていこうとする人の助けになってくれるのではないか、と思います。私もリリースを楽しみにしています。 
(宮浦宜子)

2012年10月10日水曜日

素手にイカ、おかんのおかず弁当、牧草地の知られざる特質

浦河での日々は毎日が新しい出会いであっという間に時間がたってしまいます。
今日の午後からの乗馬体験の前に先週のことを。


これを両手に持ち立ちすくむ
10月3日(水)。朝、でかけようと家をでると、お隣の仕出し屋さんのおじいさんが「あんた、イカ、食べるかい」と。「今朝、そこであがったやつだから」と、発泡スチロールの箱から、右手と左手に1パイずつイカを。もちろん、そのままです。吸盤がどんどん手に吸い付いてきます。そんな非日常から一日がはじまりました。

















写真を撮ろうとすると照れるおかん
午前はマルセイさんの「おかんのおかず弁当」のお手伝い。
「おかんのおかず弁当」は、毎週水曜日に「おかん」こと、神戸出身の藤本さんの関西風の煮物が入った手づくり弁当を定期契約している方にお届けするサービスです。
 素材はもちろん浦河産。私はマルセイの祥子さんとともに、盛りつけ担当です。マルセイの祥子さんは、かつて料理屋のおかみだったこともあって、盛りつけへのこだわりがすごい。盛りつけも本当にひとつのメッセージだ、と思います。お弁当の内容はこちら
ちなみに私の盛りつけ担当者としての素質は「困るほどではないけど、決して早いほうではないね!」とのこと。精進いたします。そして、夕方は配達にも同行。チャイムを押すとすかさず「はーい!」と返事が帰ってくるそのスピード感に、お弁当を楽しみにされている気持ちが伝わってきます。それぞれのお宅でお弁当を渡しながら、少しおしゃべり。お客さまは、主に年配の方々で「今日、はじめて人と話したよ」という方も。食だけではなく、お届けの会話の時間も含めて「おかんのおかず弁当」だと、いうことを実感しました。




夜は、さっそく頂いたイカをさばいて、イカとなすとトマトのパスタを。朝は刺身にする!と息巻いていたのですが、はじめてイカをさばく人にはハードル高いよ、と一蹴されたので。夜になってもまだ、吸盤が吸い付く新鮮さ、イカのうまみたっぷりのパスタになりました。

10月4日(木)。浦河に来てはじめての外出のない日。でも、ランチは牧場の見えるレストラン「エヤム(ムは小さい字)」へ。お子さんのアレルギーのため、農薬ができるだけ使われていない場所を探していて、浦河に辿り着いたという小野里さんという素敵なマダムが経営するレストラン。そんな方がつくっている料理と思うと本当に安心して頂けます。浦河は牧草地が広がっているため、全国で最も農薬の使用が少ない場所のひとつとのこと。これも浦河の食に関わる、他にはない重要な要素。こちらに来てから知ったのですが、個人的に、とても注目していることのひとつです。お店には、乗馬帰りの奥さまたちや、体重管理が重要な、騎手(というのかな?)の方々がランチに訪れていて、浦河のまたひとつ別の姿に出会いました。お店が混み合ってきたので、元浦河町立図書館長で、現在「浦河百話」(聞き書きによる浦河の町民史。すばらしい資料です)の戦後版の編纂に取り組んでいる小野寺さんと相席に。今年度中の発行を目指しているそうで、本当にできあがりが楽しみです。
(宮浦宜子)

2012年8月27日月曜日

浦河のイカ漁

暑い日が続く中、浦河港では夏イカ漁が続いています。

最近のイカ漁は、夕方には港に戻ってくるのはご存知ですか?
残念だけど、風物詩だった漁火(いさりび)を見るチャンスもぐーんと減りました。

夕方に荷揚げ → 夕セリ → 搬送(夜間の内に都会の市場に届けます) → 翌朝・市場のセリ
最近の港はこんな時間軸。

熱い思いで、浦河の海に、魚に、こだわって情報発信を続けているブログのご紹介。
発信者は、磯場屋(いさばや)学校 の教頭先生です^^

毎日のようにアップされる、浦河漁業市場に並ぶ魚の数々。

どうやら朝セリの前の魚のようですが、自分の職場に出勤する前に、
連日のように足を運んでいるようです。う~ん。さすがは磯場屋学校の教頭先生!

さて、まだまだ続いてほしいイカ漁ですが・・・


今年の秋イカ漁が豊漁でありますように!