わらしべ乗馬療育研修センターの江刺尚美さん、小島愛子さんのお二人にお話しをしていただきました。
『乗馬療育』 とは心身に障害のある方やお年寄りの方に、馬に乗ることを通して身体や心の回復を図る療法だそうです。
わらしべさんは 日本では唯一、福祉の専門家が専従スタッフとして乗馬療育について理論的な研究をされています。
前半は社会福祉士の江刺さんが、写真と現場で使っている器具の実物を用いながら、乗馬療育がどのように行われているかを説明して下さいました。
海外では、障害があると分ったら 「すぐに馬に乗せよう!」 となるぐらいに乗馬療育が一般的だそうです。
しかし、乗馬療育が一般的ではない日本では、海外では普通にあるような乗馬療育のための道具も販売されていません。わらしべさんでは、プログラムに必要なクッションや教材道具などを、いただいた端切れなどを活用し、工夫を凝らして手作りしているそうです。
後半は理学療法士の小島さんによる乗馬療育の効果に関する説明でした。
例えば乗馬療育のひとつの効果として、体幹が鍛えられ、体のバランスが正しくなるといったことがあるそうです。身体の左右どちらに重心が傾いているか計測できる専用の器具を使って、乗馬前と後の効果を測っています。
他にも抑うつ気味の方のストレスの軽減度合や、関節への影響などの実験をされており、東京大学をはじめとした研究機関との共同研究も行っているそうです。
乗馬する前と後では、ストレスを感じる数値に変化が表れるそうですよ。
論理的なデータでの説明に納得したのはもちろん、ここでの 『乗馬療育』に真摯に取り組まれているお二人の姿勢に、心が動かされた参加者も多かったようです。驚きの声と笑い声が絶えないカフェでした。
一人の利用者さんに対して多い時には四名がかかりきりになる必要がある、非常にコストのかかってしまうこともある 『乗馬療育』 ですが、必要としている人はたくさんいます。“馬”という、浦河の資源を活用した、大切な取り組みが、これからも継続・発展していくように応援していきたいな、と思いました。
2015年6月追記:現在乗馬療育は同センターの事業縮小に伴い、別組織に人材と事業が移行しています。現在の活動はピスカリ浦河乗馬療育コミュニティにてご覧いただけます。