毛がにの山というのを初めてみました |
12月30日。浦河の荻伏町にある「丸真仕出し・弁当店」。80歳を越える、社長の真下さんは、今の場所で仕出し業をはじめてから40年、それ以前に荻伏駅前で食堂を営んでいた期間も合わせると、もう50年近く、この地の食を支えてきた方のひとりです。浦河に来てから、いろいろなところで「丸真さんの『キンキン(きちじ)のいずし』は絶品だよ」という話を聞いていたのですが、そのうちに「キンキンのいずし」は、単品で販売するためのものではなく、毎年の大みそかのための特別な仕出し「年越しオードブル」の目玉の一品としてつくられるということを知りました。11月に「キンキンのいずし」の仕込みにお邪魔した時に「年越しオードブルをつくる数日間は、まるで戦場よ」という話を聞き、年の暮れの浦河の食卓を彩る、食の現場のひとつにどうしても触れたくて、丸真さんの調理場にお邪魔しました。
1ページも割いて紹介して頂きました
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1000枚を超える鮭を焼いていきます |
丁寧に包丁を入れていきます |
盛りつけを相談するベテランお母さんと真下さん |
年越しオードブルの現場を取材するきっかけになったお母さんから、「写真だけ撮ってても何だから、はい、手を洗って!」と三角巾とエプロンを渡され、気付いたら私も毛がにチームの一員に。毛がにチームでは、甲羅を外し、ふんどし(腹筋)を取り、足にも甲羅にも裏側から包丁を入れます。私は、ふんどし取りを担当。かにの姿はそのままに、食べやすいようにひと手間かけるのが、丸真さんの昔からのやり方だそう。しかし、それも100パイを超えるとなると、ものすごい仕事量になりますが、それでもなお、そのひと手間をかけ続けていることに、食べる人への愛情を感じます。
毛がに作業が終了した後は、いずしチームに合流。お母さん2人は、朝から担当していた「トラウトサーモンのいずし」の盛りつけを終え、いよいよ「キンキンのいずし」の盛りつけに移ります。まずは、ひとつ見本をつくって、盛りつけ量の判断を真下さんにしてもらいます。一度量を決めたら、後は一定に盛りつけていくので、最初の判断は重要です。もし、後で足りなくなってしまったら、盛りつけ直しになってしまうので避けたい。じゃあ、どのくらいまでなら増やして大丈夫かとお母さんたちと相談します。せっかくみんなが楽しみにしてくれているのだから、少しでも多く分かちあいたいという、という真下さんの思いが伝わってくるやりとりでした。量が決まれば、あとはひたすら、桶からいずしを出し、切り、盛るのくり返し。朝からずっと同じ姿勢での作業で、大変な仕事です。とはいえ、私が代われるわけもなく、私は盛りつけた皿を箱に並べ、笹型のバランを添えるという、ささやかなお手伝いをさせて頂きました。
とにかく数をこなすのでどんどん上手に
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10月1日に、浦河にやってきてから、いろいろな食の現場に足を運びました。穫る、育てる、つくる、商う。たくさんの食材、人、それを取り巻く場に出会い、この地の食の豊かさに触れてきました。
これまで、この研修生レポートを通して、ささやかながらその現場をお伝えしてきましたが、来年1月初旬に「うらかわ『食』の手帖」というタイトルで、新しい情報ブログをスタートする予定です。少しでも多くの人と浦河の食についての情報を共有していければと思っています。
最後に、今年、浦河にて、たくさんの驚きと喜びを与えてくれた、食を支えるみなさん、そして魚、肉、野菜などの食材たちに、心から感謝し、年末のご挨拶としたいと思います。そしてまた、来年もどうぞ宜しくお願いします。
(宮浦宜子)