2012年9月24日月曜日

一歩先をいっている田舎の中学生!

「こんな田舎町より東京(札幌)の方が面白いこと沢山あるべ。さっさと出た方がいい」「東京の大学に行ったのに、なんで田舎に?」浦河に限らず田舎町に行くと時折こんな言葉を耳にし、その度にいつも不思議に感じます。なぜなら、多くの都会の若者がお金を払ってでも『田舎で挑戦したい』『田舎と繋がりたい』と考えていることを知っているからです。

■ 夢をかなえるなら都会?
今年の8月から研修生の募集を開始した、『うらかわ「食」で地域をつなぐ協議会の「田舎で働き隊!」事業。当初は研修生への応募者がなく苦戦していた募集ですが、最終的には東京や京都、神奈川、札幌などから男女合わせて、13名もの応募がありました。
こんなにたくさんの応募がありながら、たった一人の方にしか来てもらえないことは、本当に悔しい想いがありました。それは 「仕事もないし、少しでもお給料がもらえるなら」 とか 「都会に疲れたから田舎で休みたい」 というような方など一人もいなかったからです。
それどころか、「自分が今勤めている会社をやめてでも浦河に行きたい」 「今自分がしている仕事を更に地域や人に役立つ形にしたい」「とにかく浦河の人達とたくさん話して、一緒に何かをしてみたい!」協議会のメンバーが驚くほどうれしいメッセージが添えられた、魅力的な方々からの応募でした。
「こんなところにいても退屈なだけだべ」と地元の人達が思いがちな浦河ですが、実は「都会に住む若者からすれば、こんなにワクワクするところはない」という場所でもあるのです。今回の応募数からも、僕はそう実感しました。僕が学生時代そうであったように多くの若者が「地域」や「コミュニテ惹かれていて、実際に自分が繋がれる地域を探しています。
完成したパッケージデザインを手に、みんなで記念撮影。とても楽しいイベントでした。
浦河には、このような新しい取り組みが出来る素材がたくさんあると思います!

今年の2月、瀬戸内海に浮かぶ兵庫県“家島”で行われたイベントに参加しました。
島までの交通費は自腹で、参加費一万円の一泊二日のイベントでしたが、高級魚をたくさん食べるイベントでも、週末を温泉でゆっくりするツアーでもありません。それは “家島のお土産のパッケージをデザインしよう!” というイベントでした。
参加者は20名程で、関西に住む社会人の他、名古屋から参加した女性や、東京から大きなリュックを背負ってきた女子大生など。
島のおばちゃんたち手作りのご飯を一緒に食べながら、お土産に込めた想いを聞きます。そしてデザイナーの方のアドバイスを受けながら、みんなでパッケージのデザイン案を考え、夢中になって作成し…私達が就寝したのは明け方の4時でした。

参加者はデザインの勉強のために参加したのではありません。翌日のおばちゃんたちの前でパッケージを発表した時の驚いた顔や、嬉しそうな顔。「これならすぐ売れるで!」という言葉に出会うためにお金を払って、週末に徹夜をしたのです。

■ 一歩先く行く 浦河の中学生


「トマトジュースの試飲はいかがですかー!」「アンケートのご協力お願いします!」
今月、『ぱんぱかぱん』さんで行われたマルシェには、浦一中の生徒さん30数名が各ブースのお手伝いに来ていました。


浦河に帰ってきてから、多くの方と出会う機会に恵まれている日々を送っています。高校生の頃は「浦河なんてつまらない。絶対に出る!」と思っていた私でした。
今考えると、その頃の私にとっての “社会” は、学校と通学路に限定されていたのだな、と改めて気がついた今日この頃です。

早くから地域に触れる機会に恵まれ、大人たちと一緒に挑戦することができている中学生たちは、都会の若者達を一歩リードしているのかもしれません。「地域は日本の未来の縮図」と言われます。高齢者が増え、人口が減る浦河。それは日本全体で起こっていることが、少しだけ早く来ているだけです。
逆に人同士の繋がりがあり、豊かな自然や食に恵まれている浦河。それは日本が今後目指そうとしているものです。

つまり、田舎で何かに挑戦するということは、日本の10年先、20年先を先取りしているとも言えます。
すでに日本の未来に挑戦し、学んでいる浦河の中学生や高校時生が頼もしく見え、負けてはいられないと思いました。
村下 知宏

好きな町をより好きになるために Part3  マルセイニュース94号寄稿より