浦河町の3.5人に1人が高齢者という計算になります。高齢化社会を超え、超高齢社会がすでに訪れている現状です。今回のデザインカフェは、浦河で 『老いる』ことを、みんなが自分ごととして考える機会になりました。
19時開始ですが、時間の経過と共に少しずつ参加者が増えていくのが いつものパターンのデザインカフェです。 |
第21回地域デザインカフェのカフェマスターは、 『浦河町老人と共に歩む会』 会長の森允子さんをお迎えしました。地域デザインカフェでずっと取り上げたいテーマだった 「高齢社会」 。地域の深刻な課題であるこのテーマを、悲観的にならずにみんなで考えるためには誰に話してもらえば良いかな、と考えた時に思い浮かんだのが森さんでした。
『老人と共に歩む会』 は、地域のお年寄りや、その介護をする家族を支える活動をしています。中でも月1回の託老事業 『愛の会』 というお食事会は、平成14年から一度も休まずに開催。様々な工夫を凝らしたレクリエーションや、お年寄りが喜ぶように趣向を凝らした料理を提供しており、年間延べ人数で約160人が利用しています。
毎月第3土曜に開催されている『愛の会』。 利用者の方々は、この日を本当に楽しみに待っていらっしゃいます。 |
運営スタッフは全てボランティアで、 『介護の仕事』 ではなく、ボランティアスタッフもお年寄りとの交流を楽しみながら活動を続けています。今回のデザインカフェでは、森さんが10年以上この活動を続けている原動力をお聞きしました。
嫁ぎ先で、10年近く認知症となった家族の在宅介護をしていた森さん。その経験を誰かのために役立てたいと思ったのが活動のきっかけでした。
森さんが在宅介護をしていた時は介護保険制度が始まる前。認知症という呼び名も、公的な支援制度もない時代だったといいます。けれど、今回のデザインカフェで森さんが話したことは 『介護のつらさ』 だけではありませんでした。
嫁ぎ先で、10年近く認知症となった家族の在宅介護をしていた森さん。その経験を誰かのために役立てたいと思ったのが活動のきっかけでした。
森さんが在宅介護をしていた時は介護保険制度が始まる前。認知症という呼び名も、公的な支援制度もない時代だったといいます。けれど、今回のデザインカフェで森さんが話したことは 『介護のつらさ』 だけではありませんでした。
『老人と共に歩む会』代表の森充子さんと当協議会の石黒さん |
「最初は衝突ばかり、辛いことばかりだったけど、認知症が進む中で、私のことを慕ってくれるようになってきた。そうすると愛しさを感じるようになってきて・・」
森さんが活動を続ける理由は、「お年寄りが好きだから」。そして 「自分が老いた時に自分がしたい理想の暮らし方や老い方」をお年寄りたちに提供したいからだそうです。
うらかわ地域おこし協力隊の新メンバー、加藤エミさん作! 地場産かぼちゃのポタージュスープ+酵母パン(ぱんぱかぱん)には、 「レシピ教えて~」 と言う声が多数^^ |
休憩時間は、 “おいしい一口” を楽しみながらちょっとひと息。 職場から直行して参加される方々にも喜ばれています。 |
後半のフリートークタイムでは、23名の参加者全員から、森さんへの様々な質問や、参加者自身の介護や家族に関するエピソードが語られました。
「実は自分にも認知症の祖母がいる」「自分の母親の老後について気になっている」
「自分自身が認知症になった時、自分が気づくことはできるのか」・・・
「あなた、お年を召さないの?」というタイトルは、打ち合わせをした時に、森さんの口からふと出てきた言葉ですが、介護や高齢社会が誰にとっても身近な問題であるということを気づかせてくれました。今回の参加者からの投げかけを聞き、改めてそのことを実感しました。
自分の大切な人の老いに寄り添う、自分自身が生まれた町で老いることは難しいことで絶対の解決法はありません。
しかし、ある参加者がこんなことを言いました。
「例えば自分が先に死んで、妻が一人で老後を暮していくことになった時、幸せに老いてもらうためには人と繋がるコミュニティを創っておくことが一番の準備なんじゃないかと思った。」
介護を 《してあげる》 人と、 《してもらう》 人の関係では長続きしない、と森さんは言います。
超高齢社会の問題を解決することは難しいですが、一人ひとりが幸せなまま人生を終える準備をすることは、小さなこと ― 隣人と繋がる、お互い様といえる人をつくる ― から出来るのではないでしょうか?
「実は自分にも認知症の祖母がいる」「自分の母親の老後について気になっている」
「自分自身が認知症になった時、自分が気づくことはできるのか」・・・
「あなた、お年を召さないの?」というタイトルは、打ち合わせをした時に、森さんの口からふと出てきた言葉ですが、介護や高齢社会が誰にとっても身近な問題であるということを気づかせてくれました。今回の参加者からの投げかけを聞き、改めてそのことを実感しました。
自分の大切な人の老いに寄り添う、自分自身が生まれた町で老いることは難しいことで絶対の解決法はありません。
しかし、ある参加者がこんなことを言いました。
「例えば自分が先に死んで、妻が一人で老後を暮していくことになった時、幸せに老いてもらうためには人と繋がるコミュニティを創っておくことが一番の準備なんじゃないかと思った。」
介護を 《してあげる》 人と、 《してもらう》 人の関係では長続きしない、と森さんは言います。
超高齢社会の問題を解決することは難しいですが、一人ひとりが幸せなまま人生を終える準備をすることは、小さなこと ― 隣人と繋がる、お互い様といえる人をつくる ― から出来るのではないでしょうか?
(事務局 村下知宏)